こんにちは。山野楽器事業推進統括部の峯岡です。前回に続いて、山野楽器オリジナルCDの製作にまつわるお話、今回は『GINZA Piano Classics~山野楽器 ピアノ名曲セレクション』(2020/07/29発売)についてお話ししましょう。

発売日: 2020-07-29
このCDは2枚組、全32曲(35トラック)で、クラシック音楽におけるピアノ音楽の魅力を感じていただくため、膨大な名曲の中から、心に残る美しい旋律と豊かな楽想を持つ作品を、名門ドイツ・グラモフォン、デッカの一流ピアニストたちの優れた演奏で贈る、山野楽器からの音楽ギフトです。
クラシック音楽を演奏する形態というと、真っ先にオーケストラが思い浮かぶ方は多いと思います。いや私はオペラが好きだ、ヴァイオリンのため息の出るような旋律もいい、フルートの素朴な音色も癒される、という方も多いかと思いますが、やはり人気はピアノではないでしょうか。
実は以前から、ピアノのアルバムを作るなら単なる鑑賞用のピアノ名曲集ではなく、ピアノを習っている人、教えている人、ピアノを聴きたいと思っている人、など、ピアノ音楽を愛するすべての人に繰り返し聴いていただけるような充実したピアノアルバムを作りたいと考えていました。今回、製作にあたりまして、ピアノを聴くにはこれはぜひ!という曲をまずすべて上げ、それぞれどのピアニストの演奏が繰り返し聴きたいか、実際の音を聴き進めていきました。
いろいろと思いを巡らせていくうち、やはり名門ドイツ・グラモフォン、デッカ、フィリップス(現在はデッカに吸収)に残された名ピアニストたちの演奏に触発されることが多く、担当のレコード会社であるユニバーサルミュージックの方にご協力いただくことにしました。そんな中コロナ禍となり、選曲・製作に集中する時間が少しできましたので、一気に音源の選定を進めました。
しかし、ことはそう簡単に進みません。複数のアーティストの録音で編成する、いわゆる名曲集は「コンピレーションアルバム」と言われ、多くの方に聴かれていますが、契約上の理由などでコンピレーションに入れることのできない録音も多くあります。この曲ならこのピアニスト!と選んでも使えず、泣く泣く諦めたものも結構ありました。
それでも多くの音源の中から選んでいく作業は楽しいものです。何年かぶりに聴いた録音も多く、また初めて聴くピアニストもいて、それぞれ充実した時間でした。
ではどんな曲、ピアニストを選んだか、ご紹介しましょう。
(長くなりますので、数回に分けてご紹介していきます)
- ドビュッシー:アラベスク第1番/パスカル・ロジェ
フランスを代表するお洒落系作曲家ドビュッシーの有名なピアノ曲。アラビア風の模様という意味のタイトル通り装飾音の美しい名曲ですね。ドビュッシーのピアノ作品を全曲録音している、フランスの名ピアニスト、ロジェの演奏で。 - ショパン:即興曲第4番「幻想即興曲」/ヴラディーミル・アシュケナージ
多くの方が知っている名曲ですが、ショパンは気に入らなかったらしくショパンの死後に彼の友人によってこのタイトルをつけて出版されたそうです。これもショパンのピアノ作品全曲を録音している名手アシュケナージの演奏で。 - ショパン:マズルカ第38番 作品59-3/マリア・ジョアン・ピリス
祖国ポーランドの民族舞踊であるマズルカをショパンは50曲以上作曲していますが、ここに紹介するのは最も有名なものの一つで、楽しさの中にも憂いのある味わい深い曲です。ピリスの柔らかく優雅な音色はマズルカの魅力を際立たせます。 - メンデルスゾーン:無言歌集より「春の歌」/ダニエル・バレンボイム
無言歌とは言葉のない歌、という意味で才能豊かなメンデルスゾーンの代表的なピアノ曲集ですね。最も有名な「春の歌」を、指揮者としても有名な名手バレンボイムの演奏で。 - モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番K.332から第1楽章/内田光子
モーツァルトのソナタは外せませんが有名な「トルコ行進曲つき」ではなくこちらを選びました。何気なく始まり、音を絡ませながら展開していき、次々に曲想が変化していくモーツァルトの魅力たっぷりの傑作です。内田光子の定評ある名演で。 - シューマン:森の情景~第7曲「予言の鳥」/内田光子
シューマンが交響曲、室内楽、歌曲を多く書いた後に久しぶりに書いたピアノ曲集「森の情景」。名手内田光子が奏でる不思議な音の空間に身を委ね、ドイツの深い森を味わってください。 - シューマン:アラベスク/内田光子
シューマンは作品1から23まですべてピアノ曲で、このアラベスクは作品18。軽快なリズムと陰影ある旋律の交錯が美しい名曲です。こういうのをポロポロっと弾いてみたいですね…。 - ショパン:ワルツ第19番(遺作)/ヴラディーミル・アシュケナージ
寂しげな旋律に心を奪われるこのワルツはハープやギターで演奏されることも多く、比較的演奏し易い曲ですね。遺作ですがショパン没後100年以上たってから出版されたとか。これも名手アシュケナージの愛情あふれる演奏で。
(Part2に続く)
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